アンドレイ・クルコフ「ペンギンの憂鬱」

ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)

ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)

 初めて読んだロシア文学(正しくはウクライナの作家)。
 売れない小説家ヴィクトルは、ペンギンのミーシャと暮らしている。ある日新聞の編集長から依頼されたのは、まだ生きている人間の追悼記事<十字架>を書く仕事。その<十字架>をきっかけにヴィクトルは自分の力では抗えない出来事に次々と巻き込まれていく。
 まさに不条理の世界だ。ペンギンのミーシャの行動を頭の中に思い浮かべると可愛らしくて楽しくなる。けれどもときどきヴィクトルが考えようとして止めてしまうその真実ということがわかったとき、怖くなる。
 続編が出ていると言うことだけれども、またヴィクトルとミーシャに会えるのだろうか。