花村萬月「ゲルマニウムの夜」

ゲルマニウムの夜―王国記〈1〉

ゲルマニウムの夜―王国記〈1〉

 2年ほど前に買っておいてしばらく手をつけていなかった本。主人公朧のヰタ・セクスアリスなどに興味は無く読むのを止めようかと思ったとき、モスカ神父とのやりとりにさしかかった。

聖書をひもときながらの死など想像しただけでも嫉妬してしまうではないか。
 この一文だけで、読むのを止めるのを止めた。
 神についてああだこうだと考える、ある意味ゴールなど見えない思考を傍から見ている、それが好きなのかもしれない。わたし自身は信心も無く、神や救い、大江氏曰くの「魂のこと」について考えることは無い。しかしもうちょっと性的描写が少なくならぬものか。