つれづれ

 奥歯を削られる。随分深い、と言われて削られた前後を見せられた。白い歯の中に白い空洞。これを銀色で埋めてしまうのは少しばかり惜しい。型を取るために噛んだ粘土のようなものが薄荷の味。
 ひと通りの少ない道で、羽織っていたパーカーを脱ぎ、ノースリーブの腕を出して歩いた。伸ばす曲げるまた伸ばす。たまにはこうやって外気に触れさせないと腕も息苦しかろう。