以前ほど、強く言い切れなくなった。
 子供の頃はそれこそ相手に切りつけるかのように強い口調で物を言っていた。今でもそういうところは残っているだろうとは思う。
 でもこのところのわたしは、ひとと話をしていて相手が強い調子で物を言えば、特に自分が言ったことに対して言われたときに自分の言ったことを翻すとまではいかなくても弱めることが多い。言い争っても無駄な場合もあるけれど、自分の言っていることがふらふらしていると感じられるそのときは自分の考えていることに自信が無いから。こうやって強く言うこのひとのほうが正しいかもしれないとか馬鹿にされたくないという考えがどこかしらにあるようだ。そこには若干の反発も伴う。そんなときはいつも揺らぐことに自己嫌悪に陥る。好みの問題やら自分の生き方に対する考え方やらそういったもの、何が誰が正しいだなんてあるはずないのに。どうして自分の考えをしっかり持たない。