2007-20:桜庭一樹『少女七竈と七人の可愛そうな大人』
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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言葉が出ない。七竈が物語る言葉は古風で少し変わっているけれど、美しい。閉じた世界でひっそりと生きる彼女の言葉は凛としている。「男どもよ、わたしを勝手に消費するでない」
物語が進み、彼女や彼女の母親に関わった人々の真実が見えるにつれ、七竈の置かれる世界の狭さに愕然とする。
ぼんやりとした白い丸のような存在である自分を変えるために7人の男と関係を持った母親川村優奈から七竈は生まれた。その事実だけを見れば母親はただの「いんらんなものぐるい」でしかない。けれども母親にまつわる真実は悲しい。そして七竈をとりまく世界も悲しい。
それでも七竈の選んだ道は、悲しいことばかりではないはずだと思わされた。