2007-27:リチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』(河出文庫)

西瓜糖の日々 (河出文庫)

西瓜糖の日々 (河出文庫)

 小川洋子さんが雑誌での読書特集などでその名前を挙げていたので気になっていた本。ゆるゆると読み進めてようやく読み終えた。
 西瓜から作られた砂糖、西瓜糖の世界をその住人のひとりが話してくれる。西瓜糖はきっとうす甘くてもろい。そんな気がする。アイデスという場所、元の綴りは「iDEATH」。うっすらと漂う死の空気。西瓜糖の世界の人々は静かに暮らしている。川の中に沈められたお墓、しゃべる虎、本は滅多に書かれない。35年ぶりに書かれようとしているのがこの本。筋の通った物語というよりは散文。思いつくままに書かれる詩のような言葉たち。遠い世界の物語。眠る前、枕元で語られているようなおぼろげな世界。