夢枕獏「上弦の月を喰べる獅子」(再読)

上弦の月を喰べる獅子〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

上弦の月を喰べる獅子〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

 9年前に初めて読んだ。センター試験まであと1ヶ月を切っているにもかかわらず、1日1章にしようという自分内ルールも途中で破った。当時のわたしにとってはもう胸キュンもののキーワードが並んだ小説だった。螺旋なんて文字からしてドキドキしますよ。(これってやっぱり今で言うところの「萌え」なんだろうか? 「胸キュン」って死語……?)
 で、今読み直している。
 ア・バオ・ア・クゥーについての引用元の「EL LIBRO DE LOS SERES IMAGINARIOS」という書名を見て、なんだかどこかで見たようなと調べてみたら、ボルヘスの「幻獣辞典」だった。9年前のわたしにとっては本当に手に入らなさそうな「奇書」だったのに。
 アンモナイトとオウムガイならばアンモナイトのほうが好きだけれども、オウムガイの螺旋は数学的に理想的な螺旋なのだそうだ。対数螺旋と呼ぶらしい。(11/8記:オウムガイの螺旋もアンモナイトの螺旋も対数螺旋だそうだ。→http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/2607/SPR/SprYume.htm)
 ストーリーだけでなく、この小説の要素もたまらなく好きだ。SF小説とも幻想小説とも言われるこの作品はやっぱりわたしの中のひとつのオウムガイでいう年輪のような筋となっているのだろう。