久しぶりに駅から家まで歩いた。短い坂で息が上がる。ずいずい歩くうちに歩くことだけで頭が一杯になる。長くてやや急な上り坂を、ちょっとした覚悟を決めてのぼる。息切れが心地いい。まだちょっと血が足りていないなと思いつつも足の重さはいつの間にか無くなり、坂をのぼりきって立ち止まると心臓がとんでもない速さで脈打った。もうあと一息で家にたどり着く。
 思うところに歩いていけるのはとてもうれしい。