夜道、深い群青色の空に浮かぶ月を見上げながら歩いた。吸い込まれそうな、気が遠くなりそうな、そんな澄んだ暗さの空。
 家のそばの切り立ったちょうど崖のようになった場所からは、すり鉢のような街の灯りと海、そして対岸が見える。そんなところに猫が2匹座り込んでいた。冷たく光るこの銀色の月を見ているのだろうか、それとも?