つれづれ

 考え事をするつもりで入ったスターバックスの席で「沈黙」を読み終えたのが昨日。雨が激しい音を立てて降るのを、時々正面の大きな窓を通して眺めながら物語のクライマックス、雪の日のできごとを追っていた。読み終えた後こころの温度がずんと下がるのはそのときのわたしにとって何らかの重みを持った物語である証拠。軽く放心しながら帰宅した。
 午前中、「アビシニアン」を読み終えた。連鎖的に思い出した他の本もぱらぱらとめくる。本は読み返すたびに目に留まる部分が違う。そのときに必要な言葉にしるしがつけられているかのように飛び込んでくる。とりとめのないいくつかの考え事をする。
 午後、急に雨が激しく降った。その後ぐったりと疲れて眠っていた。この1週間の高い湿度と気分の乱高下に随分と消耗していたようで眠っても疲れがしみこんで取れない。昨日出した換気扇が首を振り続けている。
 今日は満月の夜。見られないかと諦めていたけれど、雲は月をよけるかのように流れていく。遠くに見える市街の灯りが、いつもよりくっきりと鮮やかにそして揺らめいている。闇には飲まれないだろう、今夜は。