2007-32:桜庭一樹『青年のための読書クラブ』(新潮社)

青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

 東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の〈クラブ誌〉があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた――。今もっとも注目の奇才が放つ、史上最強にアヴァンギャルドな“桜の園”の100年間。

 桜庭一樹というひとは少女が好きなんだろう。子供からおとなになっていくその途中のアンバランスで脆いようで逞しくて賢くも愚かで夢見がちな少女たちが。文豪たちが描く青年のような言葉遣いの少女たち。桜庭一樹の描く物語の結末は希望に満ちているというわけではないのに、それでもこの世界は続いていくのだと思わされる。世界を肯定しているひとなのだ、おそらく。
 短編連作の形をとる物語。数々の事件、二章の聖マリアナにまつわる物語がいい。