結局わたしは変わっていなかったのか、とふと思う。新卒1年目社員の頃と、派遣社員で働いている今と。自分の立場をわきまえていない、ということなのだろう。あの頃はまだまだ周りも笑って許してくれていたけれど、やんわりとたしなめられたり叱ってくれる先輩がいたけれど、今は違う。たとえ一緒に仕事をしているひとが派遣社員の経験者で理解があって守ってくれているにしてもそこに甘えているわけにはいかない。そういうことを言われる原因を作った自分が悪いのはわかっている。
 でもそれなら、と口にしてしまえば爆弾を投げつけるのと同じくらい危なっかしいことが浮かぶ。今のわたしの派遣契約にはシステムテストだなんて含まれていませんから契約外のお仕事をするわけにはまいりませんよ、と。あなたがたは一体わたしに何を求めているのですか、派遣社員の枠におさまらない仕事をというのはどういうことですか、と。仕事をすることは嫌いじゃない、暇を持て余すよりもむしろ忙しくしていたいけれど、派遣なら黙って仕事しろと言われるのであればこちらだってきっちり線を引きたくなる。実際にこんなこと言うのはもう辞めるの覚悟の上でだろうけれど。
 それでも、明日からもわたしは普通に仕事をするだろう。職場は仕事をしにいくところで、友達を作りに行く場所ではない。それは知っている。お給料を貰っている以上、仕事はきっちりとやる、それはわたしにとってささやかなプライドがかかっているところだから。