2008-06:金原ひとみ『星へ落ちる』(集英社)

星へ落ちる

星へ落ちる

 なんだか落ち着いてしまった、という印象。恋愛の中にある依存がテーマであることは同じだけれど、これまでは誰が見ても病的な主人公の物語だった。この短編連作の登場人物たちは一見普通の人間で、それでも内面には依存心や相手を失うことへの強い不安、恐怖を抱えている。