2008-24:大江健三郎『治療塔』(講談社文庫)

治療塔 (講談社文庫)

治療塔 (講談社文庫)

 その昔少しだけさわりを読んだはず、なのに記憶の中の内容と全く違う。どういうことだろうかと思っていたら、「燃え上がる緑の木」の中に書かれていた「治療塔」「治療塔惑星」の続編「治療塔の子ら」の草稿の内容を覚えていたのだった。ちょうど以前にこの本を読んだ頃の記憶は本当に今でもいろいろと曖昧になっていて、あらためてぞっとした。
 核汚染が進み「新しい地球」を求めてエリートの集団が宇宙へ旅立って行った後の地球、という舞台設定はSFだけれど、中身はあまりSFらしくない。