2006-8:小川洋子「沈黙博物館」

沈黙博物館 (ちくま文庫)

沈黙博物館 (ちくま文庫)

 博物館をつくるために、老婆に招かれ村にやってきた青年。老婆がつくろうとしているのは形見の品をその人間が生きた証として残すための博物館。
 この物語も小川さんの作る世界が静かに閉じている。世界の淵から落ちてしまったかのように。そういう風に意図されてはいないかもしれないけれど、最後のほうは読みながら寒気がした。