「太陽」

 終戦直前から天皇人間宣言に至るまで、を題材にした映画。セピア色のスクリーンは重苦しさと同時に柔かさを感じさせる。
 考証と想像で描かれているということだけれど、イッセー尾形の演じる昭和天皇はとてもよかった。実際にはどういう方だったのかは今となっては知ることも難しいだろうけれど、こういった感じの方だったのだろうなと思える。有名な口癖の「あ、そう」も頻繁に出てきていたし。
 さまざまな人間の思惑のなかで、苦しむ天皇の孤独が浮かび上がる。「お前は十分考え抜いて決めたのかね」と自分のした選択が正しかったのか自問自答する姿。そして人間であると宣言することを決めた後、疎開先から戻った皇后に喜んで言った「私たちは自由になれるんだ」という台詞が悲しく残った。
 ところどころ小さく笑える場面もあって、程よいバランスを保っていたのではないかな。
 佐野史郎演じる侍従長がとても上品で、個人的には好みでした。
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