2007-28:G・ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』(新潮社)

コレラの時代の愛

コレラの時代の愛

 たとえどんなに愛したひとであっても、それも失恋した挙句にそのひとが他の誰かと結婚してから、51年と9ヶ月と4日もの間、何の約束もなしに再びそのひとがひとりみになるまで待ち続けることなんてできるんだろうか。
 会話文が少なくて、ひたすら語り続けられる物語は長いけれども何故か飽きない。時間がいったりきたりする部分もあるけれどなんとなく流れはつかめた。ラテンアメリカの土地には馴染みが無いけれど、描写が丁寧なので読みやすい。
 フロレンティーノ=アリーサがフェルミーナ=ダーサと出会い恋に落ちてからの60年の物語はとても長かった。この物語は語られる対象が特定のひとりではなかったから、フロレンティーノにもフェルミーナにもそれぞれの人生があったということを印象付けられたのだと思う。老いて死ぬまでひとりのことを愛し続けるなんてできるんだろうか。