『クワイエットルームにようこそ』

 去年読んだ本の映画化。笑えるものを観たいと思って。それでも個人的には観る時期を間違えたように思う。それはさておき。
 舞台は精神科病院の女性閉鎖病棟。大量服薬で運び込まれた女性が退院していくまでの数日のできごと。同じように精神科の病院が舞台の『ベロニカは死ぬことにした』は病院側が生きる意欲、喜びを気付かせようとするのに対して、この映画の主人公の明日香は自ら考えて立ち直っていくのが印象的。
 原作にはさらっとすまされるエピソードも膨らませてあるし、登場人物も個性派。大竹しのぶの怪演がなにより。時間が行ったり来たりするのに最初戸惑うけれど、そのことでより一層、現実と狂気、日常と非日常がないまぜになっている空気を作り出している。笑える小ネタも交えてあって、必要以上には重たい話にはならない。